転職活動で覚悟しなければならない9つのこと

転職活動を始める前に覚悟しておかなければならないポイントが9つほどあります。
これらのポイントを踏まえたうえで「それでも転職したい」と強く思う人でない限り、転職はおすすめしません。いまの会社で地道に改善していくほうが問題解決の近道かもしれません。

 

覚悟の無い転職は今よりもっと不幸になる入り口にもなり得ます。
転落が始まると勢いが止まることはありません。


多少現在の会社に不満があっても、もう一度冷静になって自分の心に問いかけてみてください。

 

1.転職で給料が下がるかもしれない

 

企業はなぜ求人を出すのでしょうか。
それは「欠けた人員を補充するため」です。つまりは「穴埋め」です。
もちろん、よりよいサービスのために積極的に人を求めるということもあるかもしれませんが、そういったケースは実際にはかなり稀です。ほとんどの場合は人手が足りないから求人を出していると言ってよいでしょう。

 

転職者の給料とはその人の「価値」です。
価値は需要と供給のバランスの中で決まるのですが、今は少しずつ景気が良くなっているとはいえ、まだまだ不況の真っただ中です。完全に脱したわけではありません。
なので転職したい人は山ほどいます。あなただけではありません。

 

不況の中で需要(求人)がそれほど増えない一方で、転職したい人だけが多い=供給が多くなるとどうなるでしょう。椅子取りゲームと同じで、転職は難しくなります。

 

そのうち「少しくらい給料が安くても雇ってくれ」という人も出てくるでしょう。
ここから給料の水準は引き下げられます。

 

あなたが「NO」と言った場合、代わりはいくらでもいます。
あなたが採用してもらいたいと思うなら「YES」と答えるしか道はありません。

 

あなたはそんな市場に影響されないような価値を持った人間でしょうか。もしそうではないとしたら、給料が下がることを前提に転職活動をしたほうがいいでしょう。

 

前職より給料が下がっても、転職する。
その覚悟がありますか?

 

2.すぐ入社しなければならない

 

仮に転職活動がうまくいったとして、あなたはいつから入社するつもりでしょうか。
「明日から来てくれ」と言われて、「はい」と即答できるでしょうか。

 

先に述べたように企業は「人手が足りない」から求人を出しています。
にもかかわらず「3か月待ってほしい」とか「半年待ってほしい」とか言われた人事担当者は、あなたのことをどう思うでしょうか。

 

入社意欲を疑うのが普通ではないでしょうか。
あるいは「他とウチを天秤にかけてるな」と思うのではないでしょうか。

 

あなたと似た条件の人が複数いた場合、「明日から働けます」という人を優先するのは当然です。空席の奪い合いとはそういうものです。

 

したがって、遅くとも採用翌月いっぱいまでには入社できるように準備しておきましょう。

 

ベストなのは、言うまでもなく即日です。
難しければ、キリよく「翌月月初から」や「翌月15日から」でしょう。
遅くとも内定から45日後くらいの猶予で入社すべきと考えてください。

 

あなたが新卒でない限り、企業は即戦力を欲しています。

 

3.英語だけでは勝てない

 

海外に進出している企業が求めるスキルとして英語があります。
外資系では英語が社内のコミュニケーションに必要不可欠ですし、日系企業であっても英語が話せてかつ、日本人であること、日本語が話せることには安心感があります。

 

たしかに英語は強い武器です。

 

しかし、企業は通訳を必要としているわけではありません。
英語が話せるビジネスパーソンを欲しているのです。

 

高いビジネススキルがあるからこそ英語が活かせます。
ただ何となく海外勤務したいだけで転職を夢見てはいけません。

 

4.好条件・好待遇に目がくらんでいないか?

 

年収や入社準備金、手厚い福利厚生や社内制度など好条件を謳った求人をよく目にします。

 

ここであなたは冷静にならなければなりません。
なぜならそれが「広告」かもしれないからです。

 

まず、その求人を出している企業の規模や業界の動向から考えて、それがあまりにもかけ離れている場合には、ブラック企業を疑いましょう。

 

そのような好条件を提示すれば人は集まってきますから、とりあえず集めるだけ集めておいて、実際にはもっと現実的な線に落ち着きます。

 

また、ブラック企業ではないとしてもそのような待遇を受けられるのはほんのひと握りの極めて優秀な人だけです。

 

「そういう待遇を受けている人がいるよ」というだけで、あなたの話とは全く関係ないかもしれません。

 

5.地方企業・Uターンを甘く見ていないか?

 

「転職すると給料が下がる」という話を書きました。
じゃあ地方で暮らせば物価が安いから、その分取り戻せるのではないかと考えるかもしれません。

 

しかし、計算が甘いと痛い目を見ます。
たしかに食料品が安い場合もありますが、借家の家賃が都市部とそれほど変わらない地域もあります。

 

また都市部と違って近くに食料品店が無く自動車が欠かせない生活になるかもしれません。ガソリン代のことも地方暮らしの計算に含まれていますか?

 

地方暮らしには地方ならではの出費がつきものです。

 

年収は前職と比べて相当下がったけど、生活費はそれほど変わらなかったら結局、年収はダウンします。今よりもっと苦しい生活を強いられるかもしれません。

 

6.無駄な資格や経歴に投資していないか

 

「とりあえずこの資格を取ってから転職しよう」など考えていませんか?

 

しかしその資格、本当に転職に有利なのでしょうか。
転職先の業務で実際に使わなければ無駄な投資に終わってしまいます。

 

たしかに、難易度の高い資格を保有していれば履歴書に箔が付きます。輝いて見えるでしょう。否定はしません。

 

また珍しい経歴があれば面接のネタになるかもしれません。
しかし、それだけのことです。転職先のビジネスにしっかりと活きなければそれほどの評価は得られません。

 

企業の人事担当は、ただの「資格コレクター」に興味はありません。
面接で話が弾んだとしても、「すごいね」と褒められたとしても、仕事で役に立つこととはまた別の話です。勘違いしないようにしましょう。

 

資格取得を目指したり、少し背伸びをした経験を積むならば、最初からきちんと目的意識をもって臨みましょう。

 

ビジネスの世界ではアクションが重視されます。
たとえば、共に資格取得を目指す同僚と勉強会を立ち上げてみたり、イベントを開催したり、また本業に支障が無ければ資格を活かした副業を通じて実績をつくってみたりするのです。実際のビジネスを肌で感じることができるでしょう。

 

アクションを伴った自己投資だからこそ転職で有利に働きます。

 

きちんとした活動に裏付けされた資格や経験なら、面接の場で話しても説得力があります。また転職先のビジネスにおいても活かせることが期待できます。

 

その資格、本当に役立ちますか?

 

7.異業種への転職は難しい

 

これまで携わったことのないような業種への転職は、正直厳しいです。
年収面でも相当なダウンが予想されます。

 

なぜなら異業種への転職では、単純にこれまでの経験は無に帰することになるからです。情熱とか気合いとかだけで転職を目指し、本当にゼロからのスタートするとして、自分の価値を相手にどのように説明するのでしょうか。

 

どのように自分の価値を感じさせるか、工夫が必要です。

 

多くの人はここでつまづきます。
これまでの実績が有利に働かないうえに、異業種ということで業界の研究も不得手で深いところまで研究できず、結果書類選考や面接を通過できないのです。

 

ただし、転職できる可能性として高いのは同じ職種の場合です。
人事や経理、営業などの職種はどの企業でも必要な仕事です。
業種や企業によって細部は異なりますが、基本的には同じです。
なので、A業界からB業界への転職だったとしても、一貫して経理の知識があると言った場合には評価されやすいと言えます。

 

異業種への転職において重要なのは、「いま自分が担当している業務が、転職先の業種においても活かせる」ということを示すことです。

 

ただ何となく日々忙殺されながら仕事をやっている人は、これができません。
あなたは自信を持って自分の仕事をアピールできますか?

 

8.職種をまたぐ転職は非常に厳しい

 

上記で挙げたような職種の強みすらない場合はどうでしょう。
転職は非常に厳しいです。

 

理由はやはり「未経験のハンデ」です。
実績を示すものが無くなる以上、転職は大変不利になります。

 

また業種はそのままに、単に職種を替えたいということならば、なぜいま所属している会社において「配置転換」を希望しないのでしょうか。

 

「営業をやってみたい」「経理の仕事をしたい」「人事の仕事をしたい」
なぜ、いまの会社で実現できないのでしょうか。

 

ここを深く追求すべきです。
どうしても今の会社ではなく、この会社でなければならない理由を探すのです。

 

職種をまたぐ転職のポイントは、業種の場合と同じですが「共通点」を見つけられるかにかかっています。まったく違う職種に就くことになるけれど、これまでやってきた「A」という仕事がこの職種でも「B」という形で活かせます、と自信を持って説明できるかが重要です。

 

9.面接や試験などの時間を柔軟に確保できるか

 

要するにスケジュール管理ができるか、ということです。
面接はその最たるものですが、転職活動は相手ありきのものです。
最大限、転職したい企業の都合で選考は進んでいきます。

 

もし、いまあなたが所属している会社の繁忙期と転職活動期間が重なってしまった場合、転職活動(面接)を優先できるでしょうか。

 

「2.」で述べた通り、「もう少し待ってくれ」と相手に伝えるのは印象が悪いです。
本当に転職したいと考えているなら、きちんと計画を立て、戦略的に転職活動を進めるべきです。

 

大まかなものでもよいので、やはり「計画表」という目に見える形でスケジュールを落とし込む必要があるでしょう。

 

まず自分の会社の繁忙期を踏まえ、引き継ぎのことも考えながらゴール(転職時期)を決めます。

 

次に自己分析します。いわば自分のこれまでの棚卸です。
これまでどのような仕事に携わってきたのか、何を感じ、何を思ったのか。
自分の強みは何なのか、自分のどこに価値を感じてほしいのか。
そういったことを突き詰めて、徹底的にまとめまてきます。

 

そして実際に求人を探します。
当然、自己分析の結果に基づいて自分が活かせる企業を選びます。

 

最後に書類作成とエントリーです。
恐らくこれまでの間に履歴書や職務経歴書に書くべき事項はまとまっているはずなので、端的に記載しましょう。

 

書類選考を通過し、面接においても自分の価値を認めさせることができれば見事転職できます。

 

まとめ

 

覚悟すべきこととして9つ挙げました。

 

1.転職で給料が下がるかもしれない
2.すぐ入社しなければならない
3.英語だけでは勝てない
4.好条件・好待遇に目がくらんでいないか?
5.地方企業・Uターンを甘く見ていないか?
6.無駄な資格や経歴に投資していないか
7.異業種への転職は難しい
8.職種をまたぐ転職は非常に厳しい
9.面接や試験などの時間を柔軟に確保できるか

 

これらの問いかけにちゃんと答えられる人だけが、転職を成功させています。
肝に銘じておいてください。